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食品産業における人づくり 7
 
(3) タイ国における食品製造面の技術レベル
 
では、スタッフとワーカーはどのような能力が求められて、それに対しての充足度は
どうであろうか。食品加工の面から考察してみたい。
スタッフについては、大学・高校で習得した技術・知識を一応は有していると考えて
良いだろう。又、ワーカーを管理する立場であるから、若くても、日本の工場現場で言
えば、主任・係長・課長の役割期待がある。その為には、見て見ぬ振りをしない、責任
感の強い人間が必要である。「タイ人は他人を傷つけることを好まない」ので、他人の
前で、ワーカーを注意するのは、なかなか難しいことであるが、それを敢えてやっても
らわなくてはならない。
タイでは、スタッフが高学歴であると、例えそのスタッフがワーカーよりずっと年下
の若い人であっても、意外に素直にその指示に従っているのを、製造現場ではよく目に
するのである。学歴社会であるといえよう。
タイの製造現場では、スタッフがワーカーに指示を出しているので、その上司である
日本人が、タイ人スタッフに、明確な指示や方向性を示す必要がある。日本では、ア・
ウンの呼吸で、上司と部下が理解しあう場面が多いが、タイではそうは行かない。特に
食品製造は人様の口に入る食べ物を製造する訳であるから、製造ミスは人の命にもかか
わってくるのである。
 
日本人上司がタイ人部下に指示を出す場合は、もし、タイ語・英語に自信が無ければ、
通訳を同席させるかして、内容の徹底を図るべきである。同時に、黒板なり、議事録に
指示内容を明記して、共有し、記録を残しておくべきと考えている。社内の通常業務で
も、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)はほとんど期待できない。
基本的には、スタッフであっても、個人としての社員であり、組織人としての意識は
非常に弱いからである。いや、世界の中では、それが一般的なのであって、個人が組織
の一部になりきっている日本が、異常な現象と言えるかも知れない。とにかくホウレン
ソウは、5Sと共に、その重要性と必要性を、タイ人スタッフの行動基準の中に、無意
識に組み込まれるまで、常に社内で繰り返して、明確にしておく必要がある。又、指示
と同様に、タイ人スタッフに対しては、業務の責任分担を常に明確にしておく必要があ
る。理由は、組織に対する考え方、他人を傷つけない、他人の仕事に口出ししない、自
分の仕事の範囲に拘るという、上記に述べてきたようなタイの国民性を考えると当然の
ことである。これも、書き物にしっかり残しておくことが、後顧の憂いを失くすことに
なるであろう。
○ワーカーに対する期待はどうであろうか。
食品製造現場においては、永年勤務者(希少価値であるが)は、年配女性が圧倒的に多
く、そのほとんどは家庭の主婦であるので、食品製造の一応の技術レベルには達してい
ると考えてよい。
スタッフと違って、複雑な業務を期待せず、基本的な、食品取扱いの加工技術と知識
を吸収してもらえばよい。特に、菌の管理にたいする基本的な衛生知識をしっかり理解
してもらうことが、食品製造の現場では、不可欠である。食品の加工技術(手際)は、経
験と共に上達するであろうし、個人差にもよるので、「慌てず・焦らず・ゆっくり」と
成長を期待したほうが良いと思われる。
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