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【データから見るタイ】M社 における人づくりの現状 2
 
販売会社に於ける実例
 
販売会社に於ける実施状況の一部を紹介したいと思う。
タイの場合は、製造会社と販売会社が分かれており、販売会社はタイで製造された完成 品(テレビ、冷蔵庫、電池等々)や日本やマレーシアなどからの輸入商品(DVD、カメラ、 エアコン等々)を販売する会社である。販売会社の相手先は現地の電気屋さんとなるため、より現地事情に密着した人材開発が 必要であり、一筋縄ではいかない現実があった。標準化が出来るような研修内容については、製造会社、販売会社の現地人社員対象に共同にて行なってきたが、販売会社のみのユ ニークなものについて一つ紹介したい。
 
電化製品にはアフターサービスが必須であり、顧客が購入した商品が故障した場合には 日本で実施している内容と同じサービスを提供することになっている。とはいえ、広い国土をもつタイで修理サービスを迅速に実施することは、どうしても全 国に存在する電気屋さんにサービス対応を依頼しなければならない。
地方の電気屋さんは家族で経営している小規模な店が大半で、そのためにはサービスを 専門に行なう従業員の教育、技術習得の為の研修が絶対に欠かすことが出来ないこととなっていた。そのために、毎年全国に点在する電気屋さんのサービス担当者をバンコックの販売会社 に派遣してもらい、約半年間をかけて修理技術、商品技術動向、更には松下電器の経営理念までも勉強していただくようなプログラムを組んで実施した。派遣されたサービス担当 者は 20 歳代前半の若い人ばかりで、会社の近くの簡易ホテルに全員宿泊し、共同生活をしながら、研修を受けるものであった。毎朝の起床、朝礼、散歩等々も一日とて欠かさず、真面目さには驚くばかりであった。
半年の研修が終わると、研修終了証書を卒業式の際に一人ずつ手渡し、記念写真を全員で撮って、それぞれの故郷に帰って活躍をするのである。
 
大変に地道な内容の研修ではあるが、若い人達が一生懸命に研修に参加をし、技術を習 得している姿に接していると、何らかの形で、タイの国のために役立つ日が来るだろうと願わないではいられなかった。何事もそうであろうが、海外では特にこのような草の根的 な人材能力開発の実践の積み重ねが大切であろうと確信をした次第である。
幹部社員の育成について タイ人は一般的には自己主張をしたり、積極的に改善の提案をしたりすることは少ない。 民主主義国家とはいえ、まだまだ「階級社会」的風土が根強く残っており、トップの権力が絶大であり、どんなことでも上司の指示を仰ぐ傾向が非常に強い。社長が「白い」と いえば「黒でも白」というぐらいの風土がある。指示されたことは忠実に実行するが、自分でリスクをとってまで仕事を進めることは少 ない方である。
 
私が社長で着任して、まず驚いたことは、決裁書類の多さであった。毎朝、秘書の女性 が 20~30 センチ以上にもなろうほどの書類をどっさり持ってくる。それに全て自筆のサインをしなければならないのであった。内容を読んでみると常識的には社長が決裁しなくても良い様な小金額の事項も実に多かった。加えて、決裁用の書類 には課長、部長、役員のサインなどもされており、何故に社長のサインが要るのか驚くば かりであった。また、私が直接担当していた販売会社では、毎週月曜日の朝には課長以上が集まってマ ネージャー会議が行なわれていたが、ほとんど発言らしきものは無く、静まり返っており、 私が発言することのみを待っているような雰囲気であり、私の発言を一生懸命にメモする ばかりであった。
 
今まで経験したオーストラリアやマレーシアとは違う文化風土がタイにはあり、それを 以ってタイが間違っているとかいうことでは決してないが、私が思ったのは、このような風土の中で現地人の経営幹部を育成することは難しいなあということであった。とにかく 先述のごとく、トップが絶大であり、トップの指示さえ守っていれば間違っても責任はないといった中で、どのようにして風土を変え、人材を育成しようかということが最大の課 題であった。
何処の国でもそうであるが、そこの国、市場は現地人が一番知っており、現地人の活躍 なくしては事業の成功もあり得ないのであって、私の念頭から現地人責任者育成問題が離れなかった。
今から振り返ってみて決して全て成功したとは思えないが、実施したことの一部を紹介したい。
 
前述の如く、殆どの決裁書類が社長に回ってくることを改めようと、「社内決裁基準書」 なるものを作成した。その最大の狙いは、案件によって責任と権限の所在を明確にして、 現地人であろうと日本人出向者であろうと平等に扱うことで現地人のヤル気を引き出すこ とであった。
人事に関すること、例えば採用、解雇、評価システムなども誰が最終決裁者であるかを はっきりさせたり、金額の大小によって課長、部長にて決定権を持たせたり、会社活動のありとあらゆることまで、細かく決裁基準を決めて、それをタイ語、英語の併記書類として徹底することを行なった。 それでも依然として決裁書類が減る傾向になく、よくよく書類に眼を通すと、決裁者が例えば部長止まりであっても、役員がサインし、社長にまわってくるような始末であった。 秘書の方に決裁基準書を持ってもらい、社長決裁の要らないものは、全てつき返すように 徹底を図った。時間は掛かったが、このことで随分と現地人にも当事者意識が出てきたも のである。
社員は高学歴でチュラロンコン大学やタマサート大学など一流大学を出た人も多く、間 違いなく優秀な社員が多かったのであるが、いくら声高に叫んで、「頑張れ」といっても無意味で、やはり仕事は責任を与えて任せて、任せたならば一切口出しせず、一歩離れた処 から暖かく見守るぐらいの気持ちで接すれば、大変な能力を発揮するばかりであった。当 然といえば当然のことであった。
決裁基準書に従い、今まで出席していた会議も極力出ないようにした。また会議の内容 についても報告の必要のないものは一切聞かない様にした。結果として物事を決めたり、実施したりするスピードが速まったことはいうまでもない。実はこの決裁基準書は、私が以前マレーシアの会社勤務時代に作成し使用していたもの をタイの実情に沿って作り直したものであって、マレーシアでの経験からタイでも必ず旨くいくだろうと若干の自信はあったものである。
 
少し長々となってしまったが、「現地人幹部社員の育成」という観点から述べると、結 局は「責任と権限の範囲」を明確にして社内でオープンにし、それに沿って忠実に実行することの積み重ねが大変に重要ではないかと確信をしている。これはタイに限ったことではなくて、何処の地域でも同じことではないかというのが、 私のささやかな経験から言えることである。
いくら役員なり部長なりポストを作って現地人に就任させたところで、飾り物のタイト ルであったりするケースが多く、優秀な人材を使いこなせずに終わってしまい、あげくの果ては現地人が辞めていくような実例は実に多いものである。
言葉の問題や異文化の問題などもあって、ついつい我々は現地人に対し、「疑心暗鬼」 になってしまうことも多い。特にタイ人の場合は先述の通り、どちらかというと自己主張をするのが不得手で(というよりも、それを美徳としている)、報告も自ら進んでするよう なことは少ないために余計に不安を覚えてしまう。仕事を任されたタイ人からすると、「任されたのだからいちいち報告することもない」 という言い分も立派に成り立つわけであるが、このような場合はやはり「牽制」の仕組み を作っておくことが大事である。
 
一番簡単なのは、どのような場合に報告(中途経過も含めて)をすべきか等を明文化し 徹底することであるが、ここで気を付けなければならないのは、がんじがらめにルールで縛り付けると現地人のヤル気を損なうことも多く、仕事を任せた筈が「こんなのならば、 一から百まで指示をしてくれたほうが、よほど気楽だ」といった不満が間違いなく出てくることである。我々が一番留意しなければならないポイントではないだろうか?タイの人は大変に優秀である。何度も経験したことであるが、残業手当も付かない幹部 社員が徹夜であるイベントの準備をするようなことも何度か経験した。
日本では考えられないぐらいである。「任されていると実感」した時に発揮する彼等の力は大変なものである。そのことを忘れてはいけないというのが私の経験から言えること である。
 
失敗の実例
 
エピソードを紹介してみたいと思う。日本の常識がタイでは非常識ということになるか も知れないが参考になればと思う。或る工場責任者(日本人)がタイ人の社員を人前で叱りつけた。言葉の問題もあって日 本語で烈火のごとく叱責した。その場はそれで収まったが、2~3 日後その日本人の行きつけのカラオケ店を出たところ後ろから何者かにバットのようなもので襲われて重症を負っ た。犯人は分からず終い。日本から着任まもない社長が風土改革の一環として社員の制服制度を週に一度だけ、カ ジュアルデーとして私服にしようとしたところ、大変に不評で、それを実行したのは日本 人出向者だけであった。従業員の誕生日を祝う為に、誕生昼食パーティーを企画し、社長や幹部日本人が出席の もと実施したところ、全く盛り上がりにかけてお通夜のような奮囲気になってしまった。 社長は自ら張り切って、仕切っていたのに、結局中止の羽目になった。
他にも沢山あるが割愛したい。人材能力開発とは直接に関係の無いことのようではある が、共通しているのは「異文化対応」の欠如ではないだろうか。短絡的な日本式押し付けはけっして旨くいかないということではないかと考える。
 
経営の現地化
タイのみならず何処の海外の国においても、「経営の現地化」「経営の現地人化」は多く の進出企業のテーマ、課題であるといえる。私の経験を通じた経営の現地化について様々な観点から述べてみたい。 経営の現地化は何故に重要かというと、結局のところ、日本と違う市場(国)において一番効率的な経営を実践し、業績の向上を求めようとした場合に、日本人出向者、駐在員 だけでの活動では限界があるということである。加えて、人件費等コスト面でも大きな開 きが存在することも否めない。タイでは何十倍もの人件費の差が生ずる場合もある。ましてや、現地の市場を相手に活動をするような会社(例えば販売会社)などは、その 国の歴史、文化、習慣、言葉等々を理解した上で活動をしなければ、旨く事が運ばないこ とも非常に多い。
私の場合は、活動の主が販売会社であったために、経営の現地化は待ったなしの状況で あった。そのためには、経営活動の多くの部分を委ねる現地人幹部社員の育成が大変に重 要であった。ふさわしい人材を得て、重要ポストに就けて、仕事を任せてやれば、殆どは旨くいくも のであるが、とはいえ困ったケースや経営の現地化を阻害する場面に出くわすこともまま あった。その原因の多くは日本側(本社)に存在することであった。例えば、日本側から出張者 が来て会議をするとしても、気がつくと殆どが日本語での会議になってしまい、現地人幹部が置いてきぼりになってしまうようなことも多かった。また、折角苦労して現地人が作成した資料、報告書も日本語でないという理由で重宝さ れなかったり、日本での会議に現地人を出張させても他の参加者と同様の扱いを受けなかったりで、失望するようなことも多かった。私の所属していた会社(松下)は随分と国際 化、グローバル化の進んだ会社であったと自負しているが、それでも場合によっては前述 のようなことも起こるのである。また、「仏作って魂入れず」のごとく、役員や部長に現地人を登用しても、それにふさ わしい権限を与えず、外部から見ると現地化の進んだ会社に見えるものの、実際は「見せ掛けの現地化」で終わってしまうような場合も多々あった。
私は、現地化というのは、日本人であれ、現地人であれ、同じ職種では全く同様の扱い をするということが一番大事なことではないかと考えている。またそのことを、本社も含めて同じ様に理解し、何処の国でも実践することが「現地化」を促進することになると考える。
日本人出向者の多くは、自分の任期中の業績だけを追いかけて、中長期的な観点から「人材の育成」「経営の現地化」をついつい疎かにし勝ちである。その日本人が帰国したら会社 がガタガタになって業績も下がってしまうようなことになってはいけないし、優秀な現地人がしっかり支えるような会社は、そのような事は起きないものである。昨今はどこの業 界も競争が厳しく、悠長に構えてばかりはおれないが、タイの国では物事を長期で観るような視点を忘れてしまうと、余り良い成果に結びつかないことを特に銘記しなければならないと思う。
その鍵はやはり「人材」ではないだろうか?というのが私の結論である
 
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